大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和57年(ネ)1195号 判決

控訴人・附帯被控訴人(原告)

矢島治夫

外一名

被控訴人・附帯控訴人(被告)

原島実

外四名

主文

一  本件各控訴を棄却する。

二  本件各附帯控訴に基づき原判決を次のとおり変更する。

1  被控訴人原島実及び同原島征次は、各自、控訴人らに対しそれぞれ金二一〇万三、二三六円及びこれに対する昭和五三年八月一八日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。

2  控訴人らの被控訴人原島実及び同原島征次に対するその余の各請求並びに被控訴人原島正幸及び同原島セキノに対する各請求をいずれも棄却する。

三  訴訟費用は、第一、第二審とも控訴人らと被控訴人原島実及び同原島征次との間においては、控訴人らに生じた分の五分の一を同被控訴人らの負担とし、その余を各自の負担とし、控訴人らと被控訴人原島正幸及び同原島セキノとの間においては、全部控訴人らの負担とする。

四  この判決は第二項1に限り仮に執行することができる。

事実

第一当事者の求める裁判

一  控訴人ら

(控訴の趣旨)

1 原判決を次のとおり変更する。

被控訴人らは、各自、控訴人らに対しそれぞれ金一、六四八万円及びこれに対する昭和五三年八月一八日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。

2 訴訟費用は第一、第二審とも被控訴人らの負担とする。

3 仮執行の宣言

(附帯控訴の趣旨に対する答弁)

1 本件各附帯控訴を棄却する。

2 訴訟費用は被控訴人原島実及び同原島征次の負担とする。

二  被控訴人ら

(控訴の趣旨に対する答弁)

1 本件各控訴を棄却する。

2 控訴費用は控訴人らの負担とする。

(被控訴人原島実及び同原島征次の附帯控訴の趣旨)

1 原判決中、被控訴人原島実及び同原島征次の敗訴部分を取り消す。

2 控訴人らの被控訴人原島実及び同原島征次に対する各請求をいずれも棄却する。

3 訴訟費用は第一、第二審とも控訴人らの負担とする。

第二当事者の主張

次に付加するほかは、原判決事実欄の「第二 当事者の主張」に記載のとおりであるから、これを引用する。

一  控訴人らの陳述

1  一般に、逸失利益を算定するに当り、将来の収入について中間利息を控除するのは、そうしないと、被害者が右中間利息相当分の利得をすることになるので、現在における等物価に換算するための操作である。してみると、中間利息を控除するというのは、法律的には損益相殺を主張することにほかならず、そのためにはこれによつて利益を受ける側(被告)において訴訟上その主張・立証責任を負うものと解すべきである。ところが、本件においては、被控訴人らは控訴人らの逸失利益に関する主張について全部争う旨の答弁をしているだけで、右損益相殺に関する主張をしていない。したがつて、亡環の将来の収入については中間利息を控除することは許されないというべきである。

2  今日、逸失利益の算定に当り、一般に、将来の収入について賃金のベースアップがあることを計算基礎に加えないのはベースアップの割合を証拠上明らかにすることができないからであるとされている。しかしながら、今日の高度に進歩した経済学の手法をもつてすれば、将来のベースアップの程度を左右する何十、何百というファクターをもとにして、五年先、一〇年先のベースアップの割合を予測し、十分合理的な根拠のある数値を算出することが可能であり、現に政府はその数値を目標として経済政策を展開しているのである。もつとも、これは過去の事実の証明の問題とは異なり、将来の事象の予測の問題であるから、右のようにして算出された数値と実際のそれとの間にはプラス方向に、あるいはマイナス方向に、ある程度のずれが生ずることは避けられない。とはいえ、この数値は、何十、何百というファクターをもとにして算出されたものである以上、現在の社会構造、政治体制に変動がなく、極端な技術革新や戦争、革命、大災害等の不測の事態を考慮の外におく限り、実際のそれと極端にかけはなれたものではあり得ない。してみると、逸失利益の算定に当り、将来の収入について賃金のベースアップがあることを計算の基礎に加えるのが合理的であることは明らかである。

右と同様、今日の経済学の手法をもつてすれば、将来の消費者物価上昇率についても十分な根拠のある数値を算出することが可能である。賃金の上昇率は労働生産性の上昇率と物価の上昇率の和として顕われるものであり、この点で、将来、賃金の上昇率が物価の上昇率を下回ることもあり得ないことではないとする見解は経済学の初歩的理論にも反する独断といわなければならない。

3  仮に亡環の逸失利益を算定するに当り、将来の収入について稼働開始時までの中間利息も控除すべきであるとしても、中間利息の控除は将来得られる収入を現在における等物価に換算する操作であるから、そこで問題になるのは名目金利ではなく実質金利でなければならない。すなわち、一般に、金利と呼ばれる名目利子率と預貯金の実質的な価値の増加率である実質利子率との間にはインフレ率だけの差が生ずる。例えば、名目利子率が五パーセントであつても、物価上昇率が三パーセントであれば、預貯金の実質的利子率は二パーセントしか増加しないというわけである。ところで、中間利息の控除に関しては、その利率として年五パーセントの法定利率が採用されているが、これは将来にわたつてインフレや労働生産性の上昇がなく、実質金利が年五パーセントであることを意味している。しかしながら、例えば、昭和四六年から同五五年までの最近一〇年間でみた場合、いかなる計算方法をとつても実質利子率は年一・三パーセントを超えることはないのである。してみれば、中間利息の控除は右実質利子率の限度で行うべきであつて、これを超えて行われるべきではない。

4  本件口頭弁論終結時においては、既に昭和五七年賃金センサスが公刊されており、昭和五八年の賃金上昇率が四パーセントを下らなかつたことは公知の事実である。したがつて、亡環の逸失利益は右賃金センサスによる全労働者の平均賃金年収三二四万七、三〇〇円にその四パーセント相当分を加算した金三三七万七、〇〇〇円を基礎にして計算すべきである。

ちなみに、右賃金センサスによる全女子労働者の平均賃金年収は金二〇三万九、七〇〇円であり、これにその四パーセント相当分を加算した金額は金二一二万一、二〇〇円である。これに家事労働分として月額一五万円を下らない金額が加算されるべきである。

二  被控訴人らの陳述

1  中間利息の控除を損益相殺と呼ぶか、利得控除などと呼ぶかは用語の問題に過ぎず、その実質は法規の適用たる性格を有している。したがつて、中間利息の控除をするには訴訟上必ずしも当事者の主張・立証を必要としない。

2  中間利息の控除は、事実認定の問題と異なり、すぐれて法律的概念であるとともに、法規適用の問題なのである。この点に関する控訴人らの主張は、中間利息を経済的事実として捉えようとするものであり、法律的概念を経済的概念をもつて律しようとする不当があるのみならず、法規と事実を混同する誤りを犯している。とくに、将来の長期間にわたり賃金の上昇率を合理的な根拠をもつものとして予測することなどとうていできることではない。現に本訴が提起された直後ごろから控訴人らの主張に反して実質賃金の上昇は止まつており、予測がいかに困難かを証明したといえる。また、経済成長率に関する経済学者の予測がしばしば的中しないことも事実である。さらに、今日では、公務員の給与抑制の必要が強く叫ばれており、これが実施されれば、平均賃金の上昇率に大きな影響を与えることは必至である。したがつて、仮に、いわゆるベースアップ算入論を採用するにしても、その妥当し得る領域は、現に職を有する者について将来の数年間に限定されるべきである。

また、不法行為法は被害者と加害者との間において損害の公平な分担を目的とするものであるから、労働生産性の上昇に起因すると考えられる実質賃金の上昇部分は、これを得べかりし利益として加害者に負担させるのが公平に適うといえるにしても、名目賃金の上昇部分については、その原因であるインフレーション自体が国の通貨政策・雇用政策に大きくかかわるものであるうえ、貨幣価値の下落による損害を加害者に負担させる合理的な理由は何ら見出せないのであるから、これを加害者の負担とすべき損害に算入することは許されない。

3  本件においては、逸失利益の算定に当り、生活費控除の割合を三割とするのは経験則に照らしても低額に過ぎ、いかに少くとも四割を下回ることはない。

4  仮に過失相殺の主張が認められないとしても、親としての固有の慰藉料を算定するうえでは、控訴人ちづ子にも過失があつたことを斟酌すべきである。

第三〔証拠略〕

理由

一  当裁判所は、控訴人らの本訴各請求は、被控訴人原島実及び同原島征次各自に対しそれぞれ金二一〇万三、二三六円及びこれに対する昭和五三年八月一八日から完済まで年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める限度で理由があるから、その範囲でこれを認容し、被控訴人原島実及び同原島征次に対するその余の各請求並びに被控訴人原島正幸及び同原島セキノに対する各請求をいずれも棄却すべきであると判断するが、その理由は、次に付加・訂正するほか、原判決理由説示(原判決一五丁表二行目冒頭から同二四丁裏八行目末尾まで)のとおりであるから、これを引用する。

1  〔証拠略〕

2  同一七丁裏八行目に「一ないし三」とあるのを、「一、二」と改め、同一〇行目の「三五、」のあとに「昭和五四年八月一八日及び同五五年一一月二日当時における本件事故現場等の写真であることに争いのない甲第一一号証の三、当審証人高山大の証言並びに」と付け加え、同一八丁表七行目の「車両の」から九行目の「気づくことなく、」までを削除し、同じ行に「通り」とあるのを「通つて」と改め、同一一行目の「発進させたこと、」のあとに「このとき母親の傍を離れ、車両の左側をひとりでよちよち歩きしていた亡環が、足をもつれさせて車両の左前部にふらふらと出て来たのであるが、運転席の被控訴人征次はこれに気づかなかつたこと、」と付け加える。

3  同一九丁裏一一行目冒頭から同二〇丁裏四行目末尾までを次のとおり改める。

「前認定の事実に、〔証拠略〕を総合すると、控訴人ら方は鉄筋コンクリート造二階建の長屋式共同住宅の一戸であり、右共同住宅と本件事故が発生した道路との間には幅約一・八メートルの庭があり、道路との境にはフェンスが設置され、各戸ごとに門扉が取り付けられていること、控訴人ら方の隣家は町田淑子方であるところ、事故の日、控訴人ちづ子は町田と共同で被控訴人征次から桃一箱を買い、桃は直ちに被控訴人征次によつて町田方前に停車していた車両の荷台から降され、町田方の玄関先まで運ばれたこと、そこで、控訴人ちづ子は、自宅から容器を取り出して来て、これに桃の半分を取り分けようとしたのであるが、それまでのように亡環を抱えていたのでは取分け作業ができないので、亡環を地面に降ろして傍に立たせておき、町田と二人で作業に取りかかつたこと、ところが、亡環はその間に母親の傍を離れ、本件事故に遭遇したものであること、がそれぞれ認められる。

右事実によれば、控訴人ちづ子は、本件事故の直前、桃の取分け作業に気をとられ、一時亡環から目を離したことは明らかであつて、前述したとおり、当時、亡環がひとり歩きもままならない幼児であつたこと、近くにはエンジンをかけたままの車両が停車しており、その場での商いが終われば発進する状況にあつたことからすれば、控訴人ちづ子は亡環から目を離したことによりその監護者としての注意義務を怠つたというべきである。もつとも、控訴人ちづ子が亡環から目を離したのはほんの一時のことではあるが、右のような状況のもとにおいては、その過失の程度は必ずしも軽微なものともいい難く、公平の観念上、損害額を算定するうえでこれを被害者側の過失として斟酌するのが相当である。

しかしながら、前述したとおり、本件事故は、被控訴人征次が車両を発進させるに際し周囲の安全確認を怠つたという自動車運転者としての基本的な注意義務を怠つたところに直接の原因があることを考えると、その過失割合は被控訴人征次八に対し控訴人ちづ子二とするのが相当と認められる。」

4  同二〇丁裏六行目冒頭から同二二丁表一〇行目末尾までを次のとおり改める。

「1 亡環の逸失利益

(一)  幼児の死亡による逸失利益については、男子又は女子労働者の平均賃金額(=年収)、そのうち生活費相当分の占める割合及び稼働可能期間をもとにして将来得べかりし実収入の総額を算出し、これからホフマン式若しくはライプニツツ式計算法により民事法定利率年五分の割合による中間利息を控除してその現在価額を算定するのが一般に採られている計算方法であり、多くの裁判例にみられるところである。これに対して、控訴人らは、次の四点を挙げてこの計算方法に異を唱えるので、以下、控訴人ら主張の各点につきこれを採用するに足りる合理性が認められるか否かを検討する。

(1) 年収算出のもとになる平均賃金は女子労働者のそれではなく男子を含む全労働者のそれを採るべきであるとの点について

この点については、当裁判所は、女子労働者の平均賃金を採用すべきであつて、男子を含む全労働者の平均賃金を採用するのは相当でないと判断するのであり、その理由は原判決の説くところ(原判決二〇丁裏一〇行目冒頭から同二一丁裏一行目末尾まで)と同一であるから、これを引用する(ただし、原判決二〇丁裏一〇行目に「しかし、」とあるのを「一般に」と改める。)。

(2) 中間利息の控除については、当事者の主張・立証がない限り、裁判所はこれをすることができないとの点について

中間利息の控除は、将来得べかりし収入の現在価額、換言すれば、真の損害額を把握するための手段であつて、前述の計算方法は、今日、広く是認されているところであるから、裁判所は、この点につき改めて当事者からの主張・立証がなくとも、右計算方法による中間利息の控除することはできるというべきであり、この点に関する控訴人らの主張は独自の見解であつて、採用の限りではない。

(3) 今後に見込まれる賃金のベースアップとの関連から、亡環が一八歳に達する年までの分については中間利息を控除すべきではないとの点について

わが国においては、今次大戦後、長期にわたり一般労働者の賃金について大幅な上昇がみられたことは公知の事実である。そうであれば、今後においても、これと同様の傾向がみられるかどうかであるが、右賃金上昇には戦後の経済復興、とりわけ高度成長期におけるわが国経済の飛躍的発展が大きな影響を及ぼしていることは否定し得ないところ、今日、わが国経済は世界的な不況下において停滞状態にあり、将来において、かつてのような経済発展を予測する向きは皆無といつても過言ではない。また、賃金上昇は控訴人ら主張のとおり物価上昇と密接な関連性があるところ、賃金・物価、とりわけ物価の変動は世界的な政治、経済情勢や国内における政治的、経済的、社会的な諸要因によつて直接、間接の影響を受けるものであり、一定の経済法則によつて上下するという性質のものではないのであるから、将来の長期にわたり物価ひいては賃金の上昇率を的確に予測することは、いかに進んだ今日の経済学の手法をもつてしても容易になし得ることではないと考えられる(この意味で成立に争いのない甲第八号証の一ないし三の川口弘作成の「鑑定書」による今後の消費者物価上昇率の予測は経済学研究者による一つの試みとしての域を出ないものというべきである。)。のみならず、損害賠償制度は、元来、不法行為等の被害者が現実に被つた損害を填補することを目的とするものであるから、その賠償金額は損害額を超えることはあり得ないことを合せ考えると、将来の賃金上昇率という高度の蓋然性をもつて予見することの極めて困難な事柄を逸失利益算定の基礎資料に加えることは相当でないというべきである。したがつて、賃金のベースアップとの関連から、中間利息を控除すべきではないとする控訴人らの主張は採用できない。

(4) 中間利息を控除する場合、その利率は実質金利によるべきであるとの点について

前述のとおり、中間利息の控除において、一般にその利率を民事法定利率年五分としているのは、ほかにこの点につきより的確な指標がない以上、民法所定の利率によることを相当とするという考え方に基づくものであつて、将来にわたつてインフレがなく、年五パーセントの割合による実質金利が維持されることを前提としているものではない。インフレが昂進するとした場合、その割合に対応する預貯金の目減りが生ずることは控訴人らの主張するとおりであるが、将来得べかりし収入が現在価額で一時に支払われる場合においては、これを資産の購入に充て、あるいはより有利な方法での利殖、運用を図ることによつて右法定利率を超える割合の資本収入を得ることも十分考えられるところである。してみると、この点に関する控訴人らの主張は、物事の一面のみをみて、他を省みないものであつて、採用できない。」

5  同二二丁表一一行目に「3 亡環の逸失利益」とあるのを削除し、同丁裏一行目の冒頭の番号「(一)」を「(二)」と、同四行目に「昭和五五年」とあるのを「昭和五七年」と、同六行目から七行目にかけて「金一八三万四八〇〇円」とあるのを「金二〇三万九七〇〇円」とそれぞれ改め、同七行目の「基礎とし」のあとに「(なお、この点につき控訴人らは、右金額に昭和五八年の賃金上昇分としてその四パーセント相当分を加算した金額を基礎とすべきことを主張するが、そうすることは、かえつて、右平均賃金額の統計数値としての意義をあいまいなものとするものであり、逸失利益算定の基礎として統計数値を用いる場合には、事実審の口頭弁論終結時における最新のものを使用すれば足りるというべきである。そのほか、控訴人らは、亡環の家事労働分とし月額一五万円を下らない金額が加算されるべきであるというが、亡環の逸失利益を専業主婦の立場にあるものとして算定すればともかく、前記のとおり、女子労働者としての賃金を取得する立場にあるものとして算定する以上、とくに家事労働分を逸失利益算定の基礎とするのは相当でない。)」と付け加え、同一〇行目から一一行目にかけて「金一〇一八万一一二一円」とあるのを「金一一三一万八〇九一円」と、同二三丁表一行目の数式を次のとおりそれぞれ改める。

2,039,700×(1-0.3)×(19.201-11.274)=11,318,091

6  同二三丁裏一行目のあとに行を変えて次のとおり付け加える。

「なお、被控訴人らは、右生活費控除の割合を年収の四割とすべき旨主張するが、年収算出の基礎となつた平均賃金額は昭和五七年の統計数値によつたものでその後の上昇分が考慮の外におかれていることなど諸般の事情に照らすと、本件においては、これを三割とするのが相当であつて、右主張は採用できない。

(三) 本件事故については、控訴人ちづ子にも過失があることは前述したとおりであるから、前記過失割合に従い右(二)の金一、一三一万八、〇九一円からその二〇パーセント相当額を減ずると、残額は金九〇五万四、四七二円である。」

7  同二三丁裏二行目の冒頭の番号「(二)」を「(四)」と、同三行目から四行目にかけて「右(一)の金一〇一八万一一二一円」とあるのを「右(三)の金九〇五万四、四七二円」と、同じ行から五行目にかけて「金五〇九万五六〇円(一円未満切捨て)」とあるのを「金四五二万七、二三六円」とそれぞれ改める。

8  同二三丁裏七行目の冒頭の番号「4」を「2」と改め、同一〇行目の「本件事故の態様、」のあとに「本件事故については控訴人ちづ子にも前記の過失があること、」と付け加え、同二四丁表一行目に「金五〇万円」とあるのを「金四〇〇万円」と改める。

9  同二四丁表二行目の冒頭の番号「5」を「3」と改め、同三行目の冒頭に番号「(一)」を付し、同七行目のあとに行を変えて次のとおり付け加える。

「(二) 本件事故については控訴人ちづ子にも過失があることは前述したとおりであるから、前記過失割合に従い右(一)の金三二万円からその二〇パーセント相当額を減ずると、残額は金二五万六、〇〇〇円である。」

10  同二四丁表八行目に「6 損害の填補」とあるのを「(損害の填補)」と、同丁裏一行目冒頭から三行目末尾までを「したがつて、前記1ないし3の合計各金八七八万三、二三六円から右填補額を控除すると、残額は各金一九一万三、二三六円である。」とそれぞれ改める。

11  同二四丁裏四行目の冒頭の番号「7」を「4」と改め、同七行目の「弁護士費用は、」のあとに「本件事故当時の現在価額で」と付け加え、同八行目に「金三五万円」とあるのを「金一九万円」と改める。

12  同二四丁裏八行目のあとに行を変えて次のとおり付け加える。

「5 合計

以上の損害は各控訴人につき合計金二一〇万三、二三六円であり、したがつて、被控訴人実及び同征次は、各自、控訴人らに対しそれぞれ右金二一〇万三、二三六円及びこれに対する本件事故の日である昭和五三年八月一八日から完済まで民事法定利率年五分の割合による遅延損害金を支払うべきである。」

二  よつて、控訴人らの本訴各請求は右説示の限度で理由があるからその範囲でこれを認容し、被控訴人実及び同征次に対するその余の各請求並びに被控訴人正幸及び同セキノに対する各請求は理由がないからいずれもこれを棄却すべきであり、右と一部結論を異にする原判決は本件各附帯控訴に基づいて右のとおり変更し、一方、本件各控訴は理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法九六条、八九条、九三条を、仮執行の宣言につき同法一九六条を各適用して、主文のとおり判決する。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例